昔の話ですが…

 昨日、学校で先生方との面談を夕方行ったためか、布団に入ってからも何だか神経が高ぶって、寝付けませんでした。そんな時思い出すのは、発症から今までの事、短いような長いような期間だけど、わたしの人生の中でもかなり波乱万丈な時期でした。でもこの経験が随分わたしを成長させてくれたなぁとも思います。

ナツが発症して入院したその日に、主治医の先生から言われたのは、登校できるようになったら、学校に出向いてこの病気の事を説明をしますから…この病気は日常のコントロールがそのまま治療になるので学校できちんと理解してもらえるように手助けするのも医師の仕事なんです。それも治療の一環です…ということ。

で、実際に退院が決まりいよいよ登校ということになって、先生と学校側で日時の調整が行われました。結局退院の日の夕方、5時半からということに決まりました。当初わたしはこの説明の場に出るのが嫌で、サブ担当の先生には、学校側もわたしたちがいると聞きにくいこともあるのではないかと思うので、できれば同席したくないということも言ったのですが、主治医には伝わってなく、結局同席する事になり、ナツを連れて学校へ行きました。もちろん手には測定道具一式から補食まで持って。

今思うとおかしいほど緊張していました。だってナツの病気のために…たった一人の生徒のためにこうして、主治医の先生は仕事が終わってから30分もかけて出向いてきてくださる。学校では普段話もしたことのない校長や教頭先生。そして初めて入った校長室。もちろん保健の先生やら担任やら…

一体わたしはなんて挨拶したらいいの。こんな時はやっぱり主人に行って欲しかった。でも会社だし。ナツはこの状況がどれほど理解しているのだろうか、自分のためにみんなが時間をとって話し合っている。いくら2年生とはいえわかっているはず。

この日の説明はほとんど主治医の先生がされました。意外なことに緊張していたのはわたしだけではなかったようです。説明のさなか、学校の事務員のかたが、

「すみません、どなたか○○○○というナンバーのお車ではないですか?ライトがつけっぱなしなんですが」

多分教職員の車なら、大体ご存知のはず。ということは、わたしか主治医の先生しかいない。あ、でもそんなナンバーじゃないな。ということは先生かな。と思っていたら、先生ナンバーは覚えていらっしゃらないのか、「ええっ、僕かな?ちょっと見てきます。」と、離席。な~~んだ、先生も緊張されているんだって、変にわたしは逆に落ち着きました。

この後、さらに面白かったのは、先生帰ってこられてから、

「ええ~~っと。どこまで説明していましたっけ」

すかさず、当時の担任、「高血圧のところです。」…@-@

とっさに教頭先生、「高血糖でしょう」…^^;

これからの半年間を象徴しているかのような会話でした。そうなんです。担任の先生は医学用語には弱かったのです。

その後、ちょうど時間もいつもならとっくに夕食を食べている時間、で、ちょうどいいので、今から血糖測定してみますってナツにみんなの前で測らせてみました。一瞬シーンとなって、「はぁ~~~~」…もちろん先生方はみんな測定器さえ見るのも初めて。

主治医の先生の説明は、この病気の起こる仕組みとか医学的なことが多くて、どちらかというと、わたしは低血糖の対応とか、救急車を呼ぶ判断とか、学校生活での注意なんかを重点的に説明して欲しかったのですが。とにかく全てを一度に説明するのには無理な病気です。それでも1時間半もかかっていました。担任の先生は、これで安心ですって言われていたけど、安心できなかったのはこっちのほうだったなぁ。過ぎてしまえば、本当にどんな事も思い出ですね。

帰り道に屋台の焼き鳥やさんが、学校のすぐ横にあるのですが、そこで焼き鳥を買っている主治医の先生を発見。

ナツが「ああっ先生が焼き鳥買ってる~」…何だか主治医の先生の違う側面を見てしまった日でした。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

いつ壊れたんだろう?

 ナツが学校から「からだの記録」を持って帰ってきました。ナツたちの学校では、各学期の終わり頃にこの「からだの記録」をいうのを持って帰ってきます。それに目を通して印鑑を押してまた学校に返します。だから9月や11月に行った身体測定の結果もわかるのは12月、1月の結果は3月にならないとわからないのです。

順調に身長も体重も増えているのを見て、まずは安心。でもこれを見るたび、いつも思います。

「一体、ナツの膵臓のβ細胞が壊れたのはいつだったんだろう?」

2年生の頃の体重の変動を見ながらついついこの答えの出ない問いを繰り返してしまうのです。ナツが、異様に水分を欲しがり出したのは9月10日ごろだったと思います。ナツの学校は2学期が始まるとすぐに運動会の練習です。毎日水筒にいっぱいのお茶を持たせるのですが、普段は水分を欲しがらないナツはそれを一滴も飲まずに持って帰ってくるのです。

そんなナツがこの頃から水筒を空っぽにするようになりました。そして家に帰るなり冷蔵庫に直行。冷やしておいたお茶をがぶ飲み。夜中に必ず1回はトイレに起きる。それが2週間ほど続きました。

そんなわけで、わたしはナツのβ細胞が壊れたのは、9月の上旬だと思っていたのですが…

最初に行った小児科で体重を測りました。21kgでした。その時先生が

「痩せていない?4月に測った時はもっとあったんじゃない?」って聞かれました。

えっ、4月。そんな頃から悪かったの?半年も気が付いてやれなかったの?ただでさえ真っ白になった頭の中は体重の事なんて全く思い出せませんでした。気になって入院2日目に学校に電話を入れて、この「からだの記録」の9月に測った体重を見てもらいました。

9月は20.3㎏でした。よかった。9月より増えてる。

お見舞いに来られた担任の先生にこの話をして

「発見が早かったから体重もほとんど減っていないし、よかったです」って話したら、その先生曰く、「随分痩せられてましたね。」

えっ、何のこと。体重減っていないのに…?!

「6月は22.1kgあったのに、9月は20.3kgに減っていましたね」確かにわたしは9月の体重を教えてくださいとは言ったけど、それならその事も教えてよ~~。そうなんだ。夏の間に2kgも減っていたんだ。毎日顔を見ていると、案外気が付かないものなのかな。多分小児科で測った時は、体重計や着ている服の重さとか違うから少し増えていただけなのかも…だからナツの身体の中で異変が起きたのは明らかに6月から9月の間ってこと。

でもわたしたちが、9月のこの体重2kg減を知るのは、この「からだの記録」をもって帰る12月の終わり。それならいったい何のために身体測定しているのかわからないじゃない。持って行き場のない気持をこんな事にぶつけてみたり…

もし仮に9月に測った時にこの事を知らされていたら…でもそれだけでどこかの病院を受診したかな。もう少し早く受診したかな…どうしてもっと早く気が付いてやれなかったんだろう。やっぱりそこに行き着いてしまうのです。

このブログを始める時にデジカメの中の写真を整理していて、発症前の8月終わりに行った旅行の写真を見つけました。その時のナツはやっぱりどうみてもとても痩せていました。

やっぱりナツの膵臓はこのとき既に悲鳴を上げていたんだろうなって気が付きました。

「最近太ったから、ダイエットしなきゃぁ」っていうナツにその「からだの記録」の肥満指数(ナツはー8%)を見せながら、

「何がダイエットよ~~これがせめてプラスになるまで、しっかり食べてね」ってこんこんと言ってしまいました。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

主治医がふたり

 ナツが今の市民病院に転院するまでお世話になっていた病院では、ナツには主治医の先生がふたりおられました。理由はこうです。その病院の小児科部長のA先生は県内で3名しかいないIDDMの専門医です。それで、その先生宛に紹介状を書いてもらい、その病院へと向かったのですが、ちょうどその先生の下に臨床研修を終え、正式に小児科に配属が決まった若い先生がついておられたのです。

 今思えば、滅多にでないIDDM患者を初診から診ることができるなんて千載一遇のチャンスだったのでしょう。勉強のため…と思われたのかそのA先生はナツの担当にB先生をつけられたのです。 ちょっとかわいそうなのはナツです。最初に点滴の針を刺すのはいつもB先生の役目。どうしても血管にうまく入らないとA先生登場。これも未来ある小児科医の育成と経験のためには、やむをえないのでしょうか。

 ダンディでおしゃれなA先生と対照的にこのB先生、髪はいつもぼさぼさで、なで肩の白衣はよれっとしていて、でもなぜか憎めない、ほおって置けないというタイプ。ナツは入院初日にわたしが入院の用意を取りに家に帰っている2時間を、折り紙しながらお相手してくれたこのB先生が意外とお気に入り。

 インスりンの種類を決めたり、わたしたち患者家族に説明するのは、やはりA先生の役目。実際に単位や補食量を決めて指示するのはB先生。ふたりの先生がかわりばんこに病室を覗いてくれたので、おかげで母はお昼寝もできない^^;

 インスリンの打ち方を説明してくれた時のB先生の振り方が何とももたついていて、A先生に怒られながらでした。しかもデミペンを2回も床に落とす。でもナツが地元のお祭りをどうしても見たいと言って泣いていたら、出張中のA先生には内緒で外出許可を出してくれました。入院6日目のことです。今考えたら恐ろしい…何事もなくてよかったです。

 夜中にも血糖測定をしないといけなくなって、

「お母さん、目覚ましとかセットして3時に測ってください」とB先生。

(え~~~っ、夜中に起きないといけないの)とわたし。

横からベテランの看護士さんがすかさず、

「夜間の測定は看護士がしますから、お母さんは休んでもらっていいです。測定器だけ出しておいてください」内心ほっ^^;

先生もしかして看護士さんが怖いのかも…

退院してからも担当はB先生だったので、この病院の小児科が閉鎖されると聞いたとき、じゃあ一体ナツはどっちの先生について行ったらいいのって心配でした。結局A先生の指示で今の転任先の病院へきました。最後の6月の外来では少ししんみりしてしまいました。

「B先生、いつまでも患者の気持に近いままの先生でいてくださいね。」って言いたかったけど、A先生もおられたのでいつもどおりに診察が終わりました。

最近になってわたしの実家のK市の市民病院の医師一覧表の中にB先生の名前を見つけました。NICUを持つ大きな病院の小児科です。IDDMの子どもさんも何人か通っておられます。一度会ってみようかとナツとたくらんでいます。少しはお医者さんらしくなられたでしょうか。ナツのこと覚えていてくださるでしょうか。なんせ初めて担当したIDDM患者はナツですものね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

お見舞いにお菓子?!

 ナツが1型糖尿病を発症して入院していた頃の話です。入院して6日目にナツの学校の担任の先生がお見舞いに来てくださいました。土曜日の午前中の出来事です。ちょうどその時ナツは採血をしてもらっていたので、わたしが談話室のほうに案内して、そこで話そうと思ったとき、持って来られていた紙バッグを差し出されて、

「お花でもと思ったのですが、近所に花屋さんがなかったので…」

明らかにお菓子の詰め合わせの箱です。一瞬目が点になりました。まさか「お菓子ですか?」とも聞けず、ただお礼を言っていただいておいたのですが、先生が帰られてナツと一緒に包みを開けると、やはり可愛らしい色とりどりのお菓子が入っていました。担任の先生には、ナツが入院してすぐに病名も伝え、わざわざ主人が学校に出向いて、退院後の学校生活に配慮が必要である事も言いました。もしかしたら給食は普通に食べられます、という話をしたかも知れません。でもだからといって入院中の差し入れがOKとはならないはず。病院ででも色々病気の話もしたから、お菓子なんて食べてもいいのって思ってもおかしくないのに…

機嫌の悪いナツをなんとかなだめ、主人に持って帰ってもらいました。賞味期限がずっと先のものもあるから退院したら食べようねという事で納得させました。

入院中に担当の看護士さんにこの話をしました。その看護士さんは、「はぁー」ってため息をついて、

「お母さん、その先生とはしっかりコミュニケーションをとってとにかくこの病気のことを理解してもらうようにするしかないですね」って言われました。そのときの悪い予感が当たり退院してからの学校生活でも病気に関してはなかなかわかってもらえず、わたしのストレスだけが溜まっていきました。何度ぶつかったか知れません。

ママ友たちにも、たまにこの話しをします。大抵のお母さんがわたしと同じ考えですが、一人だけ

 「それって別にいいんじゃないの、だってお見舞いって病気になった本人にだけじゃなくて例えば付き添っているお母さんとか、家で寂しい思いをしている兄弟のためって意味もあるんだよ」って言う人がいました。ふーん、そんな考えもあるんだなとは思いました。

 ついこの前の事です。義母が、親戚のお見舞いに行くので車で送ってと頼まれて出かけた時の事です。相手の人は高齢のおじいさんで肺がんで長い間自宅療養をされ、もういよいよという事で入院されていたのです。義母がお見舞いに和菓子を買って行きたいから駅でちょっと停めて欲しいといいました。

「本人はもう何も食べられなくて点滴ばかりなんだけどね」

「どうして食べられないのがわかっていて食べ物なんて持っていくの。ナツの時も食べ物もらって困ったわ。」

 普段は義母になど意見しないわたしですが、この時だけはかなりきつい口調で言いました。義母が言うには、ナツは子どもだから欲しがるけど大人なんだから、それに付き添っている家族やお見舞いに来るお孫さんにあげるためにいいからと…結局その時は道が工事でひどく混んでいて寄り道しているとかなり遅くなりそうなので、義母には諦めてもらいました。確かにそういう考えもありかもしれません。でもわたしはあの時のナツの残念そうな顔を思い出すとどうしても病気のお見舞いにお菓子を持っていこうとは思えないのです。病気になった事のない人には病気になった時の気持はわからない。そう思うことにしています。善意かもしれないけど、時には単なる自己満足にしか感じられない時もあります。

でもきっとナツは大人になっても、相手の状態も考えないでお見舞いにお菓子を持っていく…そんな大人には決してならないと自信を持って言えます。きっと人の心の痛みのわかるやさしい大人になってくれると信じています。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

入院中のエピソード

 ナツが入院したのは自宅から車で25分の隣の市の市民病院でした。もう1年半も前のことになります。今でもふと入院中のちょっとしたことを思い出すことはよくあります。後で知ったことですが、その病院は食事がおいしい事で評判だったようです。よく昼食にはヤクルトの出している「ビフィール」というパックの乳酸飲料がトレイにのっていました。他の患者さんには…。そうなんです、いつもナツには付いていないんです。当たり前といえば当たり前です。なんせ糖尿病食なんですから。献立表にもちゃんと「ビフィール」って書かれています。幸いナツはこの手のドリンクがあまり好きではありません。もともとジュースもそんなに欲しがる子ではなかったのでこういう時は助かります。

 病院の掲示板に張ってある献立表をよく見に行っていました。病院によっては「普通食、糖尿病食…」などとちゃんと分けて張ってあるところもあるのに、ナツの病院は普通食のメニューしか書かれていなくて、時々全く違うものがでてくるのです。例えば、カレーライスもチラシ寿司も楽しみにしていたのにナツのは魚料理でした。選択メニューという日が週に1回あって、ふたつ書かれたメニューから前もって好きな方を選んで言うことができるのです。これもナツにはありませんでした。魚料理と肉料理が載っていて、その魚料理の方が勝手にでてきます。

話は「ビフィール」に戻ります。入院から2週間ほどたったある日の昼食にこのビフィールがきたのです。

「ナツ、今日はビフィールが付いてるよ。でも…なんか変ね」

ナツは冷めたものです。「間違いじゃない?」ちょうどその時、部屋に入ってこられて先生にこの話をしました。先生は今までナツだけ付いていなかったことも知らなかったようで、

「でもちゃんとカロリー計算してくれているので、いいんじゃないかな。まぁ念のため、聞いてみますけど…」と携帯を取り出しながら出て行かれました。しばらくして血相を変えて飛び込んでこられたのです。やっぱり間違いだったのです。配膳の係りの人が何も考えず乗せていたのでした。

「すぐに看護士の取りに来させますから…あ、やっぱり今もらっていきます」といってあっけなく持って行かれてしまいました。なんなら私が代わりに飲んでもいいんですけど、と言いかけてやめました。なんて親でしょう…ほんとに。こんなことならすぐに飲んでいたらよかったね、とナツに言ったら、どうせ間違いだと思ったって言っていました。

「よく気が付かれましたね。」と言われてちょっと嬉しかったです。後日、院内の栄養士さんとお会いした時に、とても恐縮されて「ほんとにすみませんでした」と何度も謝られました。

「いいんです、あの子あまり好きじゃなかったので」と答えたら、

「いいえ、そういう問題ではないんです。絶対にしてはいけないミスです。」と急に大きな声でおっしゃいました。確かに考えたらそうです。食事制限されて入院以来ジュースなんて一口も飲んでいない子どもの前に飲めないジュースを間違って乗せてしまう。何も考えずに飲んでいたら当然血糖も上がっていたでしょう。それも医師の予測できない状態で…もしかしたら次の日からそのデータを踏まえてインスリンの単位を変えていたかもしれない。ちなみにビフィールは確か45kcalだったと思います。

小児科の病棟では3時におやつが出ていました。これはナツにも同じようにでていたので、唯一楽しみな時間でした。でも栄養士さん曰く、「これは主治医の先生の特別リクエストで本当は私たちは反対なんです。でも急におやつが全く食べられないではかわいそうだから…」と。

一度だけ「隠れ食い」を疑われたことがありました。一体どのデータが腑に落ちないのかわからなかったのですが、同じカロリーで出されている食事でたいして運動量も変わらない入院生活で変な動きの血糖値があったからでしょう。いくらなんでも、入院中に隠れ食いする度胸なんてありません。

「病院で出されるものしか食べさせていませんよ」と言ったら、「例えば、朝食のバナナを11時ごろ食べたとか、おやつを夜食に取っておいた、とかそういうこPhoto ともないですか?」としつこく聞かれました。何のために痛い思いをして血糖値を測っているのか、もうわかっていたのでもちろんそんな事もしていませんでした。いろいろなことのあった20日間の入院生活でした。ナツはもうすっかり忘れてしまっているんでしょうね。Photo_1

【写真】看護士さんの勧めで入院中の食事の写真をいつもデジカメで撮っていました。退院してから食事作りの参考になったらということで…

| | コメント (0) | トラックバック (0)